先日、うだるような暑さの中、大阪中の島美術館で開催されている、民藝展に行ってきました。
「民藝」という言葉は、100年前に思想家・柳宗悦が、民衆的工芸品に名付けたものです。
人々の暮らしの中で、生活のためにと作り出された物たちには、実用性だけではなく、
美しさが自ずと表現されているということを改めて感じました。
気の遠くなるような緻密な手作業や工程を知り、
そして、そこに表される素朴だけれども、
自然と調和する神々しい美しさのようなものが感じられて、
今の慌ただしく、早さや効率性が求められるような時代から離れた、
別世界に浸ることができたひと時でした。
昔の人は本当に器用だったのだなぁと。
職人さんが身近にたくさんいただろうし、
家族の中にも器用な人がたくさんいたのではないかななんて、想像してしまします。
生活することと、物を作ることが庶民の間では身近なことだったのだろうなと。
今や、そのような手の込んだ美しいものを手に入れることは、
職人さんも少なくなってしまい、
簡単なことではなくなってしまいました。
手に入れるとしても、お高いものが多いですよね。
でも、そのように手の込んだものを大切に使うことを、
日常の中でも少しずつ増やしていけたら、
豊かな時間と暮らしができそうだなと思い、
私の目指したい暮らしの形でもあります。
(もちろん、必要以上に物は増やしたくないので、
コレクターになったり、執着はしたくはないですが。)
まだまだ、丁寧な暮らしとはかけ離れたところで、日常を送っているので、
茶道や着物を日常に取り入れながら、
少なくても大切にしていきたいと思えるものとともに暮らしていきたいです。
そんな暮らしが、今の職人さんや日本の伝統文化を支え、
地球を守ることにもつながっていくのかなぁと、この異常な暑さの中、
想像したりしています。
そして、美しさを生活に求めるということも、
人間は自然とするものなのですね。
日用品であれば、使いやすさとか機能的なことが満たされていればいいのもののはずなのに、
そこに美しさを表現するというのが、不思議なものです。
生活の中に、感性をくすぐられるようなものを人は必要としているのだなと。
自然を美しいと感じるのと同じように、
生活の中でもそのような感情を味わいたいと思うのでしょうか。
それか、自然とともに暮らしていると、
手仕事の中に美しさが自然と表現されていく物なのかもしれない。
そう思うと、人間も自然の一部だなって感じてしましますが、今の私たちはどうでしょう?
日常で忙しくしていると、効率的なことなどが優先されてしまうので、
日用品に対して丁寧に表現された美しさを追及することは後回しにされてしまうし、
そんな余裕などないかもしれません。
もっとやらなくてはいけないことや考えなくてはならないことが
たくさんあるというのが現状かも知れません。
そんな中、日常で使うものに対して美しさを追求することは、
贅沢なことだとのようになっているかも。
そして、今はもっとわかりやすいような、ぱっと華やかでインスタ映えするような、
生活の実用性とは別のところに、美しさを求めていることが多いかもしれません。
今回の民藝展を通して、生活の中で生み出された美しさ、
その世界観をもっと知りたいなと思いました。
そして、自分が少しでも、心にゆとりを持てるような生活を意識して、
日常の生活の中での美しさに目を向けられるようになりたいです。
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いつか行って見たいなと思っていた、
東京にある日本民藝館に所蔵されているものを多数見ることができて、うれしかった。
*写真は大阪中の島美術館の民藝展のパンフレットを映したもの
寒さから身を守るために、足袋に刺し子を施したということだけど、
この細かさと美しさ!!ほかにも羽織なども、この細かさで作られていて、見入ってしまった。
竹細工や焼き物など素敵なものばかり。
そして、やっぱり布類に目を奪われてしまう。
芭蕉布や琉球絣、黄八丈など美しい着物たちや、丹波布の草木染めと藍の色の調和など・・・。
見ごたえのある展覧会でした。
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